守ってくれますか?
ピンポーン


リヨンがチャイムを鳴らす。

ばたばたと音がした後、ガチャっという音がした。



《・・・どちら様で?》


ドクンッ!!

心臓が飛び跳ねた。


母さんの声だ・・・。

もう、実際に聞くことのできない、優しげな声。



「わしじゃ。リヨンじゃよ。双子を連れてきたのじゃが。」

《・・・・・もうですか。まだ、小さいのでしょう?》

「ああ、そうじゃ。まだ小さい。だめかの?」

《いえ。全然大丈夫です。しかし・・・酷ではなかったのですか?》

「本当におぬしは人が良いのぉ。確かに酷じゃったが、仕方あるまい?わしらに他に、何が出来るのじゃ?」

《はい、その通りです。すみません、余計なことを・・・》

「いや、気にするでない。入ってよいかの?」

《はい。どうぞ。しかしその前に、記憶を操作しなければいけないんじゃないですか?》

「おお、そうじゃった!忘れておった。
よし、ヒカリ、ヒカル、ちょいとこっちを見るのじゃ。」



幼い私とヒカルは、不思議そうな顔をしながらも、素直にリヨンを見た。



リヨンが、目をつぶった。

そして、カッと見開く。


見開いた瞳は・・・・・

漆黒になっていた。



どこまでも暗い、引き込まれそうな瞳。


幼い私とヒカルは、その瞳を見つめている。
目を、逸らせないでいる。



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