守ってくれますか?
私がショックでなにも言えずにいると・・・

じいやさんが王子様の前にスッと立った。
王子様が、目を細める。

「ナオ様、許されません。そんなこと・・・
だいたい、ナオ様には、婚約者のアンリ様がいるでしょう?
アンリ様が、悲しみます・・・・」

じいやさん、もっともな意見をありがとう。
王子様には、婚約者がいたんだね。

それじゃあ、ダメすぎだよねえ?
絶対悲しむよ、婚約者さん・・・

「アンリとの婚約は、強制だったろう?俺はアンリを愛してなどいない。
悲しもうが、苦しもうが、どうでもよい。」

さっきまでと、全く変わらない口調で、冷たく言った。

じいやさんは眉間にしわをよせた。

「・・・・ヒドイ。」
私は思わず、呟いていた。

王子様が私を見た。

「ほう。俺がヒドイと言うのか?お前は。」

「違う。」

私は即座に否定した。

・・・そんなわけない。
王子様がヒドイんじゃない。

「遠慮はいらんぞ?ハッキリ言えばいい。俺がヒドイと・・・」
王子様の言葉に私は思わずカッとした。

「違うって言ってんでしょ!!!」

思わずそう、王子様に向かって怒鳴り、ギロリと王子様を睨んだ。

「私が言いたいのは、愛は強制するものなんかじゃないっていうこと!!
つまり、私は婚約を強制させたどっかの大馬鹿者をヒドイっつてんの!!

そんで、その大馬鹿者にムカついてんの!!!」

私は怒鳴り散らした後、その勢いのまま

「わかった?」

と、王子様の瞳をのぞきこんだ。





・・・そして、ハッとした。
< 36 / 598 >

この作品をシェア

pagetop