守ってくれますか?
ヒカルははぁ~とため息をついた。

「ホント、わかってねぇよなぁ、ヒカリは。
いいか?そりゃ、ナオは俺も渡したくなんかないだろうさ。だがな・・・お前は特別なんだよ。ちゃんと、わかってやれよ。」


・・・・・・・特別?
私が??

何で・・・・・・・・・・・・・・・あ!!!


「そうだね!私、10兆円で買われたんだもんね!!その分働かなくちゃいけないもんね!!!」

私が明るくそう言えば・・・・・


がっくりとヒカルとナオ様が項垂れていた。

「ナオ、ご愁傷様。アイツ、どーしようもねぇ。」

「ヒカル・・・俺、どうしたらいいんだろうな?どうしたら・・・・・」


2人が呟きあっているのを、私は聞いていなかった。





・・・・・・・・・・特別・・・・・


危ない危ない。
もう少しで、その意味を勘違いしちゃうところだった。

私はヒカルと違って買われた身だから・・・だから特別なんだよ。
それ以外に、何がある?

自惚れるんじゃないよ、私。

私がナオ様を好きなのはしょうがない。

でも、その好きを・・・“主人として”好きってことにする努力ぐらいはしなくっちゃ。

ナオ様は、私のことを“恋愛対象”として見てなんていないんだから――


私は、10兆で買われた身。
あまりに強い超能力は持ってる。

でもそれは、魅力になんてなんない。


わかってる。

私は、どんな優しい言葉にも、自惚れちゃいけない。

ちゃんと、わかってる。







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