守ってくれますか?
「わかるよ。痛いほどよくわかる。」

シオンが、真っ直ぐにリヨンを見つめる。


「あまりにも強大な魔力ゆえに、あたしはいつも怯えている。
一歩間違えば、敵味方関係なく、己自身をも蝕む。
大地を・・・血で紅く染め上げることが、簡単にできる。」


リヨンが、シオンを見つめ返す。


「怖いよ。戦うことが。血を流し、流されることが。
あたしは・・・怖くてたまらない・・・・・。」


かすれる声。

それでも、眼差しは、凛としていて――



「でもね。」


声が、ハッキリする。
威厳を帯びる。



「逃げてちゃ、ダメなんだよ。賢者。ダメなんだよ。・・・・・わかるだろ?」



リヨンが、スッと視線を外す。


「ああ、わかる。じゃが・・・・・・」


声が、震えている。

リヨンが、グッと唇を噛み締める。





「やっぱり、敵じゃ。」





低く呟かれた一言。

“敵”―――――




どうして・・・・・・・・・・・?




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