守ってくれますか?
―シオンside―



「お見事じゃの、魔神。」

にこやかに賢者が言う。


「どうも。」

にこやかに応じる。



・・・・・・・さて。


「どうする?賢者。」

「どうするとは?」

「戦う気は無いのだろう?どうせ。」

「そうじゃの。さぁて、どうするかのぉ・・・」


あたしは賢者の瞳を見つめた。
射抜くように。

「じゃあ、教えてくれないか?」


賢者の眉がピクリと動く。

「何をじゃ?」


「汝はなぜ、漆黒の神の仲間になったのか。
仲間になったのにも関わらず、なぜヒカリとヒカルを逃がしたのか。
レインとゼロに、なぜ償わなければならないのか。」


「多いのぉ・・・。全て黙秘じゃ駄目かの?」

「駄目だ。わかっておるのだろう?そんなことは我が許さないと。」


あたしの口調の変化に気付いたらしい賢者がニヤリと笑う。


「ようやく、本性だしたのぉ。魔神?」


「黙れ。」



分かっておる。

ヒカル達と接している己は“魔神”ということを、できるだけ意識しないように、口調を変えた。

そんな己の弱さぐらい、ちゃんと分かっておる。

「いちいち言わなくても良い。」



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