守ってくれますか?
レインが口を開いた。

「ある。もう潮時なのだ。ロゼは死なねばならない。そうだろう?元から彼女は死者なのだから。」


淡々とした口調。

だけど、少し、ほんの少しだけど、悲しみが含まれているような・・・?


「そうか。俺もその意見には賛成だな。」

ヒカルがあっさり頷く。


ちょっ・・・ヒカル!?

今、ソレを言う!?


「けど・・・俺、思うんだよ。」

レインがヒカルを、観察するように見る。

「なにをだ?」

ヒカルはにっと笑う。
悪戯を思いついた子供のように。

その笑顔は、あまりに幼かった。


「ソレはお前にとって、ただの自己満足でしかないって、さ。」


幼い笑顔に皮肉っぽい声音。

何をどうしたら、その2つが結びつくんだ。


「ほう。自己満足か。それは面白い考えだな。」

レインの声は冷静。

「だろ?」

ヒカルは無邪気な笑顔を浮かべながら、試すように言う。


「お前自身、どう思ってんだよ?」

「義務だと思っている。俺はゼロの兄だから、ちゃんと逝かせてあげなくてはならない。」

「へぇ?でも、一度は生き返らそうとしたんだろ?」


そう言った途端、ヒカルの顔から笑顔が消え、険しい顔が現れた。

まるで、今までの幼い笑顔は、仮面だったかのように、スルリとヒカルの顔から消えた。




――ヒカルって、何者?


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