守ってくれますか?
「・・・やはり、女だよな・・・・・」
考え深げに王子様が言う。

「ナオ、どーしたんだよ?ヒカリはどっからどう見ても女じゃねえか。」

「・・・ヒカリ、お前の力、やけに強くないか?
俺へのあの一撃は、本気ではないのだろう?」

ああ、そういうことか。
私は納得した。

「はい、王子様。確かにあの一撃は本気ではありません。
5割程度の力です。」

私の言葉に、王子様が驚いたのがわかった。

「5割であの力だと?女なのに?」
私は思わずふっと笑った。

「私、鍛えていたので。」

「なぜ?」

愚問だよ、王子様。
その問いは、愚問だよ。
心の中で王子様に囁く。

「簡単なことですよ。守るためです。
守るには、強くなければいけないじゃないですか。
だから、鍛えた。それだけです。」

私は決まりきった答えをさらさら言った。

・・・ね?愚問だったでしょ?王子様。
私の答えは、当然のものだったでしょう?

だって、人は守るために強くなりたいと思うのでしょう?
鍛えることは、その手段の一つでしょう?

だから、自然と答えは出てくるでしょう?


「・・・何を、守りたいんだ?」

またもや愚問だね。王子様。

私にとって『守りたいもの』は、決まりきっている。

・・・・・私とあの子達の別れを見たのなら、察しがつくと思うんだけどなあ。

< 46 / 598 >

この作品をシェア

pagetop