守ってくれますか?
どうして・・・そんなに早く、さらっと表情を変えられるの?


10年前――

ヒカルは、そんなことできなかったはずなのに。

10年って、やっぱり、大きいんだ・・・。
なんか、複雑。



「潮時だと、言っただろう?昔の俺は愚かだったんだ。」

レインの冷淡な声が響く。

「愚か?」

ヒカルが眉間にしわを寄せる。

「ああ。ロゼのことに、そんなに執着するなど、愚かとしか言い様が無い。そうだろう?死者に執着するなど、時間の無駄だ。」

冷淡な声。
淡々とした口調。
涼しげな微笑を浮かべた顔。


ヒカルが目を吊り上げる。

私は、ヒカルが何かを言う前に、怒鳴った。


「レインッ!!!!!本心言えよっ!!!」


レインが私を見る。

冷たい瞳が、私を捉える。


「本心?さっきのが本心だが?」


私は冷ややかな微笑を浮かべる。

「違うね。」

レインが片方の眉を上げる。


「面白い事を言う。どこが違う?」

「さっきのは、“漆黒の神”としての“レイン”であって、あんた自身の本心なんかじゃない。」


レインが目を細める。


「いや、さっきのこそが、俺の本心だ。」

「じゃ、勘違いしてるんだよ。」


しゃあしゃあと言ってやった。



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