シックスティーン
「次はー、○○町ー。」
独特の声を持った、
ベテラン車掌のおじちゃんが
アナウンスする。
おじちゃんのアナウンス聞けるのも
最後だ…
あたしは内心いまさら切なくなりながら
お父さんのあとに続いた。
にしても!
ホームの混み具合が想像を
遥かに超えた。
「都会って…すごい…」
あたしが前住んでいたところも
そこそこ都会だと思っていた。
でも、新しい町は次元が違う。
『ストバ』なんていうカフェを
初めて見た。
そして、『ストバ』っていう言葉が
前の学校では流行ってたりして…。
ーーーー
「葵、僕たちの出口は西口だぞ。」
お父さんが2人分の券を持って
なぜだかせかせかしている。
「お父さん、なんか急いでる?」
「あのな、葵。実は」
「明日から、お前学校あるんだよ。」