シックスティーン


「…お客様。あの、ご注文は…?」


ダンッ

あたしは無料で配られている
水を飲み干しながら
かれこれ『ストバ』に20分はいる。

店内忙しそう。だけど無視。


そんで、
こんなにあたしをイライラさせてるのは
向かいの席で肩をすくめた、
うちの父。


「お父さん!なんでそんないきなり!」

あたしは注文にきた店員を
自然と帰らせて、
小さな声でハッキリと怒りをぶつけた。


「いや…すまなかった。ただなあ、その学校以外に良さげな高校はないんだよ。私立にやるお金も、父さんには残ってない。わかるか?」

お父さんの最後の台詞が
現実をつきつける。


…あたし、これから父さんと2人かあ


そんなことをナチュラルに考えながら
「しょーがないよね」と笑って見せた。


まあ、人付き合いは苦手ではないし。
うまく付き合う自信もある。

でもやっぱり誰だって
最初は不安じゃない?


あたしはようやく注文をお願いした。
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