短編集
 私は驚愕のあまり口の中に残っていた残り少ないネギ玉牛丼の残骸を吹き出してしまい、それもまた社の顔に貼り付いてしまった。
「なっ、なっ」
 驚きのあまり、口が上手く動かすことができず、間抜けな発言しかできない。
「ほほぉ……それは実に面白い……いや、嬉しい」
 社は私が吹き出したネギ玉牛丼の残骸を紙ナプキンで拭きながら、勇魚のトンデモ発言を素直に受け入れている。
「お前ら……」
 このアホ達にはどんな言葉をかけても無駄なことは昔から分かっているけれど、つい言葉を投げかけようとしてしまう。
「僕の夢は宇宙人と結婚することなんだよね」
 社は応え、一気に激辛カレーを掻き込み始めた。
「ダメだよ」
 勇魚はキッパリと社の提案を断り、何故だか私へと視線を向けてきた。
「私の夢は世界制服と、薫ちゃんと結婚することだから」
 天使のような微笑みが加わってはいるも、再びの勇魚のトンデモ発言。先程よりも驚きは大きなものである。
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