僕と彼女の秘密の物語。
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“鋼の女”
それが、僕が初めて耳にした彼女の噂だった。
「マジありえねー!
もっとこう、“女らしく”って言うか“しおらしく"?
なんつーの?
断るにも秩序ってものがあるだろ?
グーだぞグー!ガチで食らわしやがって!」
「そりゃお前が悪いよ。
いきなり押し倒せば誰だって驚くだろ」
「押し倒してねーよ!
肩を抱こうとしただけ!
てか抱く寸前で殴られたし!!」
「仕方ねぇよ、相手は“鋼の女”だぞ」
「くっそー、少し顔が良いからって調子乗りやがってあの女…」
廊下から、男子生徒2人が大きな声で話す声が聞こえてきた。
その声と足音が、聞こえなくなるまで僕はじっと耳を澄ます。
辺りに人の気配を感じなくなると、僕は小さく息を吐いた。