僕と彼女の秘密の物語。
「……殴ったんですか?」
「…うるさい」
彼女はそうつぶやくと、大きな瞳で僕を睨んだ。
誰もいない資料室。
遮光カーテンの隙間から差し込む日差しに、小さな埃の粒子がキラキラと光る。
その薄暗いこの部屋の片隅で、テーブルの影に身を隠すように、僕と彼女は向かい合っていた。
「…今ので余計ドキドキしたからかな。
さっきより濡れてる」
「そんなことない!」
強い口調とは裏腹に、彼女は恥ずかしそうに目をそらした。
「ダメですよ。ちゃんと僕の方見てしてくれなきゃ。
ただでさえ薄暗くてよく見えないんだから、
イク顔くらいちゃんと見せてください」
「……っ」