僕と彼女の秘密の物語。
彼女はどうやら、こうやって人前で並んで歩くことが苦手らしい。
ましてや手を繋ぐことなんてと言わんばかりだ。
資料室ではあんなに大胆だったのが嘘みたいに、
彼女は少し…いや、かなり照れ屋な“普通の女の子”だった。
実は僕は、
こっちの彼女の方が好きだったりする。
「何ニヤニヤしてんのよ」
「え?いや、可愛いなぁと思って」
「はっ??!」
あと、やたら“可愛い”という単語に過敏に反応する。
そこがまた、可愛いのだ。
「ねえ美乃梨さん」
僕は彼女の手をギュッと握った。
「これから2人で、いろんなところに行きましょう。
いろんな景色を見て、いろんな音楽を聴いて、美味しいものいっぱい食べて、いろんな話をしましょう。
時には喧嘩して、言いたいこと言い合って…
笑ったり泣いたり、そんな時間を一緒に過ごしませんか」