僕と彼女の秘密の物語。
エピローグ 〜彼女の秘密〜
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彼を初めて見かけたのは、
木漏れ日が差し込む春の午後。
「美乃梨、先行くよー?」
「うん、すぐ行く!」
慌てて、テーブルの上に広げていた教材を片付ける。
この大学には図書館や実習室ももちろんあるけれど、私は特にこの食堂がお気に入りだった。
たっぷりと日が差し込む大きな窓。
すぐ外には新緑の若葉が生い茂る。
その食堂の隅の席で、机に突っ伏している人影を見つけた。
(またここで寝てる……)
彼はよくここで居眠りをしている。
私と同じようにレポートを仕上げていた途中なのか、
教科書を枕に気持ち良さそうに眠っていた。