大好きなキミへ


「どれどれ~…。って…」



後ろを振り向いたらおなかを抱えて笑っている



駿也の姿が視界に入った。



「と、とトシヤ?」



「ッ…あーぁおもしろいっ。っく…」



「いつから?」



「ずっと前からっ…」



「もう!笑うのは、いい加減にしてよ!」


「ひとりで百面相してて、マジおもしろかったっ」



「駿也のバカ」



「ほら、拗ねてねぇーでさっさと行くぞ」



駿也は、そう言い笑顔を見せた。


駿也が向けてくれる笑顔が眩しくて輝いて



見えたのは、きっと窓から射す太陽の光のせい



かっこいいと思ってしまったのは、そのせい。
「よし、真夕。体育館まで走るぞ」


「もちろん」


あたしだって、駿也よりは遅いけど


早いほうだもん!


「遅れんなよ?」


「遅れないし!!」




廊下を颯爽と走る駿也の背中を見ながら



走ったのは、これで何度目だろう。



いつ見ても、この人には追いつくこと無いのに



安心してしまう。



高校生になって、大きくなった背中




あー、なんかドキドキしてる。



なんだろうこれ…



走ってるからかな?



ま、こんなこと日常茶飯事だし。


とりあえず今は、早く行かなきゃ。




ギリギリになって入った体育館。



そのあと、こっぴどく怒られたのは


言うまでもない。
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