お嬢様重奏曲!
「おお。司。その子かいな? さっき電話で言ってたメイドを体験したい言う物好きな幼なじみは」
「お前が物好きって言うなよな。これ美琴の提案だろうが」
「せやったか? 覚えてへんわ」
「……あのなぁ」
「って。ちょっと待ってよ! 司! これはどういう事よ!」
 美凪は顔を赤くさせ怒鳴り散らす。
「いや。言ったろ? ある意味一番辛い罰を与えるって」
「確かに言ったけど。これは」
 まさかこんな恥ずかしい格好をさせられるとは思ってもみなかった美凪は、思わず自分のメイド姿を想像し更に顔を赤くさせた。
「嫌よ嫌よも好きの内ってな」
「ぜっっったいに嫌!」
「ここまで来たんだ。諦めな。美凪」
「ぐっ……だったら司も、そう! 司も着なさいよね! メイド服」
「アホか! 着てたまるか!」
「いや。それは名案やと思うで」
 と言ったのはもちろん美琴である。
「司やったらかなりいい線イケると思うねん」
「着てたまるかよ! 着てたまるかよ!」
「ふっふっふ。観念しいや? 司」
 両手をわきわきと卑猥に動かし、近寄ってくる。
 そして気が付けば、他の生徒たちも一緒になって迫って来ていた。
 誰か助けはいないかと周囲を見渡すも、咲枝はオロオロとしているだけで、桜子はため息を吐いて成り行きを見守っているだけだった。
 この中で唯一頼りになる肝心の薫でさえも苦笑しているだけだった。
 そうこうしているうちに背中が壁にぶつかる。
「さあ。いい子やから大人しくしいや」
「ヒィッ! は、話せば分かる」
 クラスメートのほとんどが怪しく目を輝かせ、距離をゆっくりと狭めていく。
「フッフッフ。追い詰めたで司。さぁ皆の衆やっておしまい!」
 美琴の言葉でまるで獲物を見つけたピラニアのごとく、一斉に司へと襲い掛かって行った。
「いぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「な、何なのよ。このクラスって」
「………アハハ。えっとそれは私にも分からないかも」
 目の前で泣きながら女の子たちに脱がされ着替えさせれている司を見て、ドン引きする美凪であった。
< 100 / 200 >

この作品をシェア

pagetop