お嬢様重奏曲!
 大講堂の中に魔法障壁が敷かれていたが、主犯より司たちの方が魔力が上のため、難無く障壁を突破する。
 中にはやはり多くの生徒や来校者が人質としていたが、司が右手を左から右へ薙ぎ払うと、人質全員が大講堂から消える。
 次に美凪が大講堂を囲っている捕縛結界を完成させ、主犯を含む襲撃犯の逃げ場を無くす。
 最後に木の葉が大講堂の中に設置されている、魔法陣やトラップを無効化させた。
「さあ、覚悟は出来たか? 俺たち守護者を敵に回した事を後悔させてやるぜ!」
 守護者の名前を聞いて襲撃犯全員が動揺する。
「今だ! 行くぞ!」
 司の合図に三人が散開した。
 それからはあっという間であった。元々実力差が天と地ほどあったため司たちは圧倒的強さで、襲撃犯たちを制圧したのだった。
「これで終わりにしてやるよ」
 司の魔力が増幅し大講堂を埋め尽くす。
 右腕を振り上げると、木の葉と美凪の周囲に結界が展開される。
「司、何を!」
 大講堂の景色が消え、次第に無限に広がる暗闇が現れる。
「がはっ…この魔力……やつは化け物か」
 襲撃犯たちは凍りついたり、体が萎んでいったり膨脹し破裂した者もいる。
「まさか司! あなた宇宙を!」
 木の葉が叫ぶ。そう木の葉が気付いた通り、司はこの大講堂の中に宇宙を召喚したのだ。
「星の瞬きに消え去れ」
 そして司はとうとう超新星爆発さえも起こしたのだ。
「司! そんな事したらこの人たちが!」
 美凪の声が司に届く事なく超新星爆発の光が、司たちを飲み込んでいった。
「………任務完了。これより戦術レベルから戦略レベルへと移行する」
 司が指を鳴らす。
 パキーン!
 乾いた音が鳴り響き、空間がガラスのように砕け散り、元の大講堂の景色へと戻った。
 そこには司たちだけではなく、気絶し床に倒れている襲撃犯たちの姿もあった。
「あれ? どうして? 何がどうなったの?」
 状況が理解出来ず、美凪は目を丸くさせている。
「これは………まさか! 司あなた!」
 何かに気付いた木の葉が司を睨み怒鳴る。
「あれ? もう気付いたんだ? さすがは魔女だよね」
 司は悪戯っぽく笑って見せたのだった。
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