お嬢様重奏曲!
「…………御影と言うと守護者の御影ですか?」
「まぁそうだな。ちなみに俺、御影宗家の次期当主」
 司の言葉を聞き、草むらの中からガバッと現れ、乱れた髪など気にせず一心不乱に謝り出す。
「すみませんすみませんすみません。私とした事が次期御影当主様に対して、とんだご無礼を」
「い、いや。そんな気にするなよ」
 ここまでされると、逆に自分が悪い事をしたような気になる。
「とにかく。そっから出ようぜ?」
「は、はい。今すぐ」
「ちょっと待つアルね」
 そこへさらに場をややこしくさせるべく、もう一つの反応を見せた浮遊電気ポットがやってきた。いや、正確には女の子なのだが。さらにはセレスティア学園の制服を着ているため、新入生と言う事になる。
「女の子をそんなところ連れ込んで、楽しいアルか?」
 ビシッと音が聞こえそうなほど、真っ直ぐに司を指差す。
「え? 嘘? だって反応が」
 横で女の子が驚いていた。
 まぁ当然だろう。何せ生体反応を察知出来なかったのだから。
「なるほどね。電気ポットの正体はマジックキャンセラーか」
 中国少女が重たそうに背負っている機械を見つめる。
「ムムッ! なかなかヤルね? その通りアル。そして消えるね! 痴漢め!」
「は? 痴漢っておい」
 中国少女は司の言葉など一切聞かず、問答無用で飛び掛かっていく。
 パシーン!
 中国少女の拳と司の手の平がぶつかり合い、乾いた音が鳴り響く。
「キャー! 御影様!」
 草むらの少女は動揺し悲鳴を上げる。
「今のを防ぐか。しかしまだね!」
 突き出した腕を折り曲げ、今度は肘打ちへと切り替える。
 しかし司は冷静に残った手で受け止めた。
「もらったね!」
 肘を曲げた勢いを利用し左の掌底を放つ。
「おっと」
 司は肘を掴んだまま前に出る。すると中国少女は後ろへと体勢を崩しかけた。その隙を狙って中国少女の軸足を払う。
「くっまだね!」
 軸足を払われ体勢を崩すも空中で、強引に体を捻り司の頭に回し蹴りを放つ。
「しつこい!」
 中国少女の足を掴むと力技で強引に足も前へと押し出し、中国少女は半回転しうつぶせの状態で地面に倒れた。
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