お嬢様重奏曲!
第十四章 魔法というもの
 気持ちがいいほど晴々とした朝、欠伸をしながら寮を出た司はチャオランと真夜の二人が庭で何かしているのを見つけた。
「おはよう。二人とも。こんなところで何やってるんだ?」
 スルーするのも気が引けたため、声をかけた。
「あ、御影先輩。おはようございます」
 礼儀正しく深々とお辞儀をする真夜。
「おはようね。なかなかいいところに来たよ」
 なぜか上目線で偉そうな態度を見せるチャオラン。
「今科学と魔法、どちらが上か検証していたところね」
 見ると確かにそれらしき機械が無造作に置かれている。
「別にどっちが上でも良くないか? そもそも科学と魔法じゃ根本的なもんが違うしよ」
「ですが御影先輩。チャオの機械はとっても凄いんですよ」
「真夜の法術もなかなか面白いね」
 あれ? と司は思う。いつの間にか二人は仲良くなっていたのだ。昨日ははっきり言って散々だったはずなのだが。
「ってかよくそんな事、美凪が突っ掛かって来なかったな?」
 負けず嫌いの美凪がどっちが上かなんて言われたら、絶対むきになっているだろう。
「美凪様は色々と忙しいみたいで。ですがまさか御影の宗家と分家の次期当主のお二方が、こちらにいらっしゃるとは」
 真夜は少しだけ半泣きしていた。まあ司だけでも緊張するのに、そこへ美凪までいれば緊張なんてレベルではないだろう。
「聞くところによると、御影は魔法使いの中でも頂点に位置する一族と、聞いているね」
「頂点かどうかは知らないが、まぁトップクラスなのは確かだな」
「つまり! ここで御影を倒せば私の科学は魔法に勝ったも同然と言う事になるね」
「あわわ。チャオ。なんて事を」
「いいんだよ。真夜ちゃん。さっきも言ったけど、魔法と科学のどちらが上とか興味ないし」
「随分余裕な態度ね。万能な科学は魔法と同じ、と言う言葉を知らないのか?」
「いや、まあ知ってるけど」
「だったら勝負ね!」
「はいはい。んで? 勝負の内用は?」
「そちらがこちらに出来ないと思う事をする。それをこちらが出来れば、こちらの勝ちね」
「なるほど。んじゃ始めようか?」
 こうしてなぜか科学対魔法の勝負が始まった。
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