お嬢様重奏曲!
 そして放課後、約束通り屋上に咲枝がやってきた。
「…………何で?」
 確かに咲枝は来た。薫や美琴は咲枝の同伴だから、納得しよう。
「何で刻羽さん?」
「フッフッフ。薫ちゃんたちから聞いたのよ。私だけ仲間外れなんて許さないんだから」
「何で美凪?」
「あ、あんたが先輩たちに悪さをしないよう見張るためよ! なんか文句ある?」
「一番疑問がなんでチャオランと真夜ちゃん?」
「わ、私は美凪に誘われて」
「私は真夜の後を付いて行ったね。後、私の事はチャオでいいね」
「…なんだかなあ」
 咲枝一人だったはずが気が付けば、あれよあれよと総勢七人と以外に大所帯となっていた。
「ま、まあなんだ。気を取り直して、早速魔法の訓練をしようか」
「ちょっと! 何よ魔法の訓練って! 私そんなの聞いてない!」
 美凪は早速出鼻をくじく。
「何しに来たんだよ? まあ美凪はスルーして早速、魔力の感知から始めようか」
「「「「はーい」」」」
 なぜか咲枝以外の声が聞こえる。
「薫さんまで」
「すみません。でもなんだか楽しそうで」
「せやで。ただ見てるだけなんて詰まらへんやんか」
「そーだそーだ!」
「……もう好きにして。んじゃ始めるけど、魔力ってのは血液と同じように体の中を巡っているんだ。魔力の量は人それぞれだけど、必ず持ってるものなんだ。まずは目を閉じて」
 司に言われたら通り美凪と真夜、そしてチャオラン以外の四人は目を閉じた。
「そして自分の中に円を思い描く。なるべくきれいな円にして。そこへ魔力が集まっていくから。描いた円を大きくしていき、自分の形にまで広げる。そこまで来ると、自分の中に何か沸き上がってくるものがあるから。それが魔力」
 ここで言葉を止め、四人の様子を見る。
 魔力感知の速さは集中力、才能、熟練度で決まる。
 やはり最初は戸惑いややり方が分からないため、上手くいかなかったが時間が経つに連れ四人の魔力が微かではあるが、活動を始めたのを司は感じ取った。
「へえ? なかなかセンスあるじゃない。初めてであそこまで持って行けるなんて」
 美凪が驚いたように四人を褒めていた。
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