お嬢様重奏曲!
「そんな規格外の二人と比べてもなぁ」
 美琴の言葉通りである。司や美凪と比べると大概の魔法使いが下になってしまう。ちなみに木の葉と美凪を比べた場合、若干ではあるが美凪が上だったりする。
「自信持ちなさいよ。真夜だって最近魔力の運用が格段に良くなって、前より大きな魔法使えるようになったじゃない。真夜はまだまだ成長期なんだから。魔法も体…も」
 といつしか美凪の視線が真夜の胸へと注がれる。
「あ、あの…美凪?」
「おかしいわね? なんだかジリジリと引き離されていくような気が」
「ハッハッハ。そりゃ体の成長は魔力と関係ないもんなぁ」
「うっさい! デリカシーのない男は死ね!」
 美凪が放つ怒りのラッシュを司は受け止めたり流したりなど、全て防いでいる。
「まぁ美凪の事は別にして真夜ちゃんはもっと自信を持つべきだ。俺から見れば真夜ちゃんは、魔法の運用次第じゃ結構上の方を狙えると思うんだ。美凪と違っていろんなとこをはしょらないし」
「わ、悪かったわね。構成が雑で」
「そう思うんなら、もう少し真夜ちゃんを見習う事だな。簡略化とはしょる事は意味が違うぞ」
「……分かったわよ。真夜には負けないからね! 色んな意味で!」
「あ、あう」
 美凪の威嚇に真夜は怯え一歩後退する。
「でもでも。美凪ちゃんって司君には以外と素直なんだね」
「刻羽先輩、あのですね? 司は魔法の天才でありながら、人一倍の努力をしてるんですよ? それに宗家の人間ですから、従う時は従います」
「へぇ〜。司君って実はものすごく偉い人だったりする?」
「刻羽さん。俺を何だと思ってたんですか」
 目を丸くさせ本気で驚いている刻羽に、司は肩を落とし本気で落ち込んでいた。
「今の政財界で御影の名を知らない者はいないわ。先輩たちだって守護者の二つ名を知ってるでしょ? 世界では知らないけど、日本で言えば最強なんだから」
「美凪。それは言い過ぎだと思うぞ」
「あら? 司はもっと誇りを持つべきじゃないかしら?」
「あにおう!」
「何よ? やろうって言うの?」
 二人の間に比喩ではなく、火花が散る。
 こうして誰にも止められない日本最強のケンカが、始まろうとしていたのだった。
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