お嬢様重奏曲!
 そして臨海学校当日。司は木の葉に無理やり仕事を探してもらい、どうにか別行動する事が出来た。
 仕事内容はとある島に眠ると言われている遺跡の、発見と調査だった。
 司は意気揚々と支度を済ませ木の葉が指名した島に向かった。
 島に着いた司は早速調査に取り掛かるつもりだった。だったのだが、司は今島にある砂浜に立ち尽くしていた。
「御影くーん! ゴメン。ボール投げて」
「……おう」
 足元に転がってきたビーチボールを、クラスメートの方へ投げ返す。
 ありがとう、と投げキッスやウィンクをおまけして、再びビーチバレーを再開しているその様子を見て、司は空を見上げる。
「………はめられた」
 乙女通信を呼んでいなかった事、女の子の団結力、木の葉な性格などの要因が重なった結果、司は薫たちクラスメートと合流する事になってしまった。
 もちろん宿泊するホテルも同じである。交通手段や宿泊施設などは全て木の葉が手配したものだから、この結果は正しい帰結かもしれない。
 さすがに部屋はクラスメートたちの部屋から離れていた。そこだけが唯一の救いと言ってもいいだろう。
 しかしそこはさすが司である。この程度のトラブルなど慣れているのか、すぐさま気持ちを切り替える。
「とりあえず、島全体を確認するか」
 クラスメートがいない場所まで移動すると、魔力のソナーを島全体へと飛ばした。
「あれ? 咲枝さん。この感じって」
「はい。この魔力の波長は司様のものです」
 司が飛ばした魔力を感知した薫と咲枝は、互いに顔を見合わせる。
「ん? どないしたん。二人して」
 一人だけ分からない美琴だけが、首を傾げていた。
「私と咲枝さんは魔力を感知出来るようになったんだよ」
「司様がどうやらこの島全体に魔力を飛ばしたようなのです。きっとお仕事のためでしょう」
「ええなぁ。ウチも部活があらへんかったら、魔法習ってたんやけどな」
 そう言った美琴の表情はまんざらでもなく、薫は苦笑して見せた。
「魔法より部活を選んだのは美琴さんです」
「いや。そうやけど、咲枝は厳しいわ」
「司さん。今頃どうしてるかな?」
 薫は司がいるであろう空を、見上げたのであった。
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