お嬢様重奏曲!
「……そう。それは大変だったわね。ご苦労様」
 二日目、司は木の葉の元へ連絡を取り遺跡の調査結果を報告していた。
「だけど、あいつがとうとう動き出したようね」
 木の葉も仮面の男を知っているため、その声は少し震えていた。
「だな。今度こそ決着を付けてやるさ。守護者の名に賭けてな」
 対して司の声には決意と覚悟の顕れか、とても力強かった。
「さすがは男の子ってところかしら? ともかく今日はゆっくり南の島をエンジョイしなさい。何のために骨を折ったか」
「骨を? じゃあ木の葉さん。やっぱり!」
「ホホホホ! そ、それじゃ司。またね?」
「ちょ! 木の葉さん! 逃げるとは卑怯な」
 ツーツーツー……。
 司の声虚しく、電話を切られてしまった。
「クソッ。後で問い詰めてやる」
 携帯電話を切ると、ベッドの上に倒れ込み天井を見上げる。
「さて。これからどうしようかな? とりあえず外に散歩すんか」
 やる事が決まると、司は早速散歩の準備に取り掛かる。
 外へ出るとこれまで感じられなかった、何とも独特な南国の雰囲気を感じる事が出来た。
「まずは海だな」
 海の方へ歩いて行く。波の音を風が運び、司の心を和らいでいく。
 それと同時に女の子のはしゃぐ声も、聞こえてきた。
「そう言えば、あいつらもこの島にいるんだったよな」
 認識阻害の魔法を使えば大丈夫だろう、と司はそのまま海へと歩いて行った。
 到着すると認識阻害と重力制御の魔法を使い、砂浜から海の上を歩いていく。
 ある程度離れた場所で足を止め、その場に寝転んだ。
「やっぱり海は安らぐなあ」
 水面から一メートル離れたところで司はプカプカと浮いていた。
「あ〜このまま寝ちゃえそうだ」
 ウトウトと意識が落ちかけたその時だった。
「くぅおら! 司! そないなところで、何一人でくつろいでんねん!」
 大気をビリビリと震わせ、怒鳴ったのは当然美琴だった。
「司様。私たちの力を過小評価してましたね?」
「司さんも一緒に楽しみましょうよ」
 司が見たその先には水上バイクに乗った美琴と、ロープで繋がれたボートの上にいる咲枝と薫だった。
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