お嬢様重奏曲!
「ん? どうしたんだ三人とも。黙り込んで……って、ああこれか」
視線の先が無数の傷痕だと気付き、司はため息を吐いた。
「魔法の研究や実験。それに今までこなして来た仕事ん時ついたんだ。魔法使いなら仕方ない事だな」
「じゃあ美凪ちゃんや真夜ちゃんも?」
「あいつらか? あいつらはそこまでしないだろう。ってか親が特に美凪の両親がさせないだろうな。だからあいつらの体はこんなんじゃねえよ」
「そ、そうですか。良かった」
質問した薫本人が司の答えを聞いて安心していた。
「ほなら、そのうち薫や咲枝もやるんやろ? 魔法使いらしい仕事を」
美琴の言葉に二人の表情が強張る。
「しねーよ。ってかさせねーよ。みんなは仮にもお嬢様なんだぜ? みんなには将来他にやんなきゃならん事がたくさんあるだろ? 今魔法を教えてるのはそん時困った事が起きても、対処出来るようにするためだ。わざわざ死と隣り合わせの、こっちの世界に引き込むつもりはない」
司の言葉はその一つ一つがとても力強く、まさに決意と覚悟の顕れだった。
「って事でこの話題はこれで終了! 早く戻って着替えないと風邪ひくってマジで」
司は肩を抱き体を震わせる。
「せやな。ほならウチに任せとき! 全速力で飛ばしたるさかい」
美琴が水上バイクへと乗り移り、スロットルを全開にする。
「行くで!」
水上バイクが少しウィリーしたかと思うと、一気に加速し水しぶきを上げ波を掻き分け岸辺に向かって、水上バイクを走らせた。
ボートでは薫と咲枝が声にもならない悲鳴を上げ、ボートと司に強くしがみついており、司は美琴に声をかけていた。
「おい! 美琴。もう少しスピードを落とせ。薫さんたちが怖がってる」
「水が怖くて水上バイクに乗れるかぁ!」
「それにコースが目的地からずれ始めてる。軌道を修正しろ!」
「なんやて? 全く聞こえへんわ」
美琴は子供のように、無邪気に水上バイクを楽しんでいた。
薫と咲枝が司を見つけてホッとしていた理由が、何となく分かった。なるほど。これほど荒い運転をされれば、誰だって嫌になるだろう。
「……やれやれ」
司は魔法で水上バイクに干渉し、少しずつ速度を落としていったのだった。
視線の先が無数の傷痕だと気付き、司はため息を吐いた。
「魔法の研究や実験。それに今までこなして来た仕事ん時ついたんだ。魔法使いなら仕方ない事だな」
「じゃあ美凪ちゃんや真夜ちゃんも?」
「あいつらか? あいつらはそこまでしないだろう。ってか親が特に美凪の両親がさせないだろうな。だからあいつらの体はこんなんじゃねえよ」
「そ、そうですか。良かった」
質問した薫本人が司の答えを聞いて安心していた。
「ほなら、そのうち薫や咲枝もやるんやろ? 魔法使いらしい仕事を」
美琴の言葉に二人の表情が強張る。
「しねーよ。ってかさせねーよ。みんなは仮にもお嬢様なんだぜ? みんなには将来他にやんなきゃならん事がたくさんあるだろ? 今魔法を教えてるのはそん時困った事が起きても、対処出来るようにするためだ。わざわざ死と隣り合わせの、こっちの世界に引き込むつもりはない」
司の言葉はその一つ一つがとても力強く、まさに決意と覚悟の顕れだった。
「って事でこの話題はこれで終了! 早く戻って着替えないと風邪ひくってマジで」
司は肩を抱き体を震わせる。
「せやな。ほならウチに任せとき! 全速力で飛ばしたるさかい」
美琴が水上バイクへと乗り移り、スロットルを全開にする。
「行くで!」
水上バイクが少しウィリーしたかと思うと、一気に加速し水しぶきを上げ波を掻き分け岸辺に向かって、水上バイクを走らせた。
ボートでは薫と咲枝が声にもならない悲鳴を上げ、ボートと司に強くしがみついており、司は美琴に声をかけていた。
「おい! 美琴。もう少しスピードを落とせ。薫さんたちが怖がってる」
「水が怖くて水上バイクに乗れるかぁ!」
「それにコースが目的地からずれ始めてる。軌道を修正しろ!」
「なんやて? 全く聞こえへんわ」
美琴は子供のように、無邪気に水上バイクを楽しんでいた。
薫と咲枝が司を見つけてホッとしていた理由が、何となく分かった。なるほど。これほど荒い運転をされれば、誰だって嫌になるだろう。
「……やれやれ」
司は魔法で水上バイクに干渉し、少しずつ速度を落としていったのだった。