お嬢様重奏曲!
「魔法をお見せするのですか? 司様に」
 咲枝もいまいち理解出来ていないのか首をかしげていた。
「そうだよ。皆の全力の魔法を、俺に見せてくれればそれでいい」
「な〜んだ。それなら楽勝じゃん。私てっきり新しい魔法の取得やドラゴンとかを倒せとか、かと思ったよ」
 刻羽は笑っていたが、司の真意を理解した美凪と真夜は表情を、青ざめさせていた。
「ふむ。つまり司に魔法戦で勝て言う事ね? 確かに楽勝ね」
「…………え?」
 チャオランの言葉に三人の動きが止まる。
 ようやく状況を把握出来たのか三人が、三人とも司を見ていた。
「今の本当なのですか? 司さん!」
「今の私たちにはまだ手が余ります」
「ずっちーよ! 私たちが司君に魔法で勝てるわけないじゃん!」
 三人からの抗議を受けて司は、美凪と真夜の方を見た。
「まあ魔法戦に勝つだけが全てではないけど。それならこうしよう。そっちに助っ人として、美凪と真夜ちゃん、それとチャオランも付けるって言うのは」
「わ、私たちもですか?」
 突然の提案に真夜は驚いていた。
 自分はもう魔法が使え、使っているところも見ている。
 だからこそ自分はセーフだと思っていたのだ。
「この私も随分と下に見られたものね? 余裕のつもりかしら? だったらその鼻をへし折ってあげるわ」
 美凪は逆に闘争心に火が付き、メラメラとやる気の炎を出していた。
「性能差が戦力の決定的差ではない事を教えてあげるアルね」
 チャオランは機械を起動させ、周囲に特殊なエネルギーフィールドを展開させた。
「これだけのハンデだ。俺も少々本気を出す」
 司から一気に膨大な魔力が溢れ出した。その余波で風が巻き起こる。
 その桁外れで反則的なまでの強さを持つ、司を見て改めて司は最強の魔法使いなのだと、チャオランを除く女子全員が再確認させられたのであった。
 溢れ出た膨大な魔力は一瞬にして、制御され収束並びに増幅された。
 構成こそ構築されていないものの、あまりの桁外れに司の周囲の空間が少し、揺らいでいるのが目に飛び込んできた。
「さて! んじゃ最終試験を始めようか!」
< 167 / 200 >

この作品をシェア

pagetop