お嬢様重奏曲！

　最終試験が始まってから、司はその場から一歩も動いていなかった。
「どうした？　まだ俺からは何もしてないぜ？」
「何なのよあの強さは。連邦の白い悪魔か！　っての」
「何のお話ですか？　とにかくよもやここまでとは。思いもよりませんでした」
「さすがは司さんですね。こんな事なら、早目に卍解を習得しておくべきでした」
　余裕の司に対して薫たちは息を切らし膝に手を着いていた。
　薫たちは自分たちが出来る精一杯の魔法を、司にぶつけるもそれら全てを司は、ことごとく防いで見せたのだ。
「女の子相手にあそこまでムキになる事ないじゃない」
「でも手加減したら試験にならないんじゃ」
「もっとも司様はまだ全力ではないのでしょう。本気でしたら開始直後に終わっていますから」
　それに関しては文句はなかった。それでは試験にならない事は理解しているからである。
「さすがは御影宗家の次期当主ですね。まるでニュータイプかスーパーサ〇ヤ人４です」
　真夜も司の力に改めて驚かされていた。
「才能だけじゃないわ。あいつ歴代最強な上に毎日欠かさず訓練をしてるのよ？　はっきり言って司の力は世界でもトップクラスよ」
　その言葉に薫たちが呆然としたその時である。
「データは取れた。これからが本番ね」
　これまで沈黙していたチャオランがノートパソコンを閉じて立ち上がる。
「知れば誰もが望むだろう。君の様でありたいと君の様になりたいと。故に許されぬ。君と言う存在も！」
　胸を張り声高々とチャオランは言い放つ。
「俺に勝とうと言うのか。俗物！」
「当然ね。魔力の差が戦力の決定的差ではない事を教えてあげるね」
　チャオランは皆を集め作戦会議を開く。
「それじゃ行くね！」
　チャオランの号令で美凪と真夜が先頭でその後ろに薫と咲枝と刻羽。そして一番後方に物々しい機械を配置したチャオランが、陣取っていた。
「行くわよ。真夜」
「は、はい！」
　まず美凪と真夜が前に出る。
「闇へと帰れ！　ハ〇ーン・カ〇ン！」
「落ちろ！　カトンボ！」
　美凪の放つ強力な魔法と司の放つ強力な魔法がぶつかり合った。