お嬢様重奏曲!
 ピンポンパンポーン。
「御影司君。御影司君。演劇部の最終打ち合わせがあるので、ホールまで来て下さい」
 美琴の声でアナウンスが流れる。
「って言うか。ウチもめっちゃ楽しみにしてるで」
「……あいつ。余計な事を言いやがって。本当にお嬢様か?」
「えっと…うん。そうだよ」
「じゃあなんだよ? 今の妙な間は」
「えっと、その。…そうだ! 気にしたら負けですよ? 司さん」
「そう来ましたか。まぁいいや。んじゃ俺、先に行くわ。期待しないで待ってて」
「フフッ。分かりました。頑張ってくださいね。司さん」
「了解。んじゃ真夜ちゃん。ごちそうさま。美味かったよ。代金、ここに置いておくね」
 代金をテーブルの上に置くと、司は一足先に教室を後にし演劇が行われるホールへと向かって行った。
 ホールに行くまで何人かの生徒にからかれ、後で美琴に仕返ししてやろうと真剣に考えた司であった。
 ようやく目的地であるホールに到着すると、そこにはすでに演劇部が全員揃っていた。
 どうやら自分待ちだったらしい。
「悪い。遅れた」
 ここは素直に謝る。下手に言い訳したところで面倒になるだけだからだ。
「いいわ。気にしないで。予定より早く集合かけた私も悪いんだし」
 演劇部の部長は司を咎める事なく、むしろ自分に非があると謝った。
「それよりも、御影君が来た事だし、早速打ち合わせをしましょうか?」
 打ち合わせはイベントの段取りの確認と、最初から最後までの 最終リハーサルを行った。
 とりあえずここまで無事何事もなく終える事が出来た。
 後は劇で使う大道具や小道具、衣装の準備だった。
 もちろん重たい物もあるので司は率先して、手伝う事にした。
 そして衣装に袖を通し開演までの時間、緊張感を楽しんでいた。
 着ている衣装が執事服なのがなんか変な感じだったが、それでもこれから本番だと言う事を実感させてくれた。
「御影君。もうすぐ本番よ」
「オッシャー!」
 司は両頬を二回ほど叩き自分に気合いを入れたのだった。
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