お嬢様重奏曲!
薫の部屋を後にした司は取りあえず、自分の部屋に戻る事にした。
「しっかし」
右を見れば女の子。左を見ても女の子。
最初は少しだけ、いやかなり嬉しかったが時間が経つにつれ、だんだん息苦しさを感じ始めた。
「慣れればなんともないんだろうけど…」
「………あ、あの」
さてその慣れるまでどれくらいかかるか。
「前途多難だなぁ」
「すみません」
ため息を一つ吐く。
なんだかここに来てため息を吐く回数が増えた気がする。
「あのぉ…もしもし」
なんだか上着が後ろに引っ張られ振り返ってみると、そこに半泣きしている女の子が立っていた。
「うわっと! 俺の背後に立つとはなかなかやるな」
どこぞのヒットマンのセリフを口にしてみるが、どうやらこの女の子には通じなかったらしい。
「?」
ただ首を傾げリアクションに困っていた。
「ま、まあ。冗談はさておいて。俺に何か用?」
「はい。実は困った事になりまして」
困ったと言っているがぱっと見ても、妙に落ち着いている。
「食堂に行きたいのですが、道に迷ってしまったみたいで」
「…食堂、ねぇ」
司の頭の中にセレスティア学園の全体見取り図が浮かび上がる。
記憶している限りでは確か寮の隣の建物だったはずである。
しかもちゃんと案内の標識があった記憶がある。
「…じゃ、じゃあ俺が案内してやるよ」
「本当ですか? ありがとうございます」
女の子は礼儀正しく礼を述べた。
「それじゃ行こうか」
「はい。お願いします」
食堂へ向かおうと一歩踏み込んだが、司の足がそこで止まった。
「……………えっと」
司が後ろを振り向く。するとそこには女の子の背中が見えた。
つまり最初の一歩で逆方向を歩いていたのだ。
多分からかっているわけじゃないだろうとは、なんとなく分かる。
となればこれが地なのだろうが、ここまでくるともう一種の才能と言ってもいいだろう。
「…食堂はこっち、だけど?」
躊躇しながら女の子に尋ねると、女の子は回れ右をして司の横に立つ。
よほど恥ずかしかったのか顔を紅くさせ、俯いていた。
「しっかし」
右を見れば女の子。左を見ても女の子。
最初は少しだけ、いやかなり嬉しかったが時間が経つにつれ、だんだん息苦しさを感じ始めた。
「慣れればなんともないんだろうけど…」
「………あ、あの」
さてその慣れるまでどれくらいかかるか。
「前途多難だなぁ」
「すみません」
ため息を一つ吐く。
なんだかここに来てため息を吐く回数が増えた気がする。
「あのぉ…もしもし」
なんだか上着が後ろに引っ張られ振り返ってみると、そこに半泣きしている女の子が立っていた。
「うわっと! 俺の背後に立つとはなかなかやるな」
どこぞのヒットマンのセリフを口にしてみるが、どうやらこの女の子には通じなかったらしい。
「?」
ただ首を傾げリアクションに困っていた。
「ま、まあ。冗談はさておいて。俺に何か用?」
「はい。実は困った事になりまして」
困ったと言っているがぱっと見ても、妙に落ち着いている。
「食堂に行きたいのですが、道に迷ってしまったみたいで」
「…食堂、ねぇ」
司の頭の中にセレスティア学園の全体見取り図が浮かび上がる。
記憶している限りでは確か寮の隣の建物だったはずである。
しかもちゃんと案内の標識があった記憶がある。
「…じゃ、じゃあ俺が案内してやるよ」
「本当ですか? ありがとうございます」
女の子は礼儀正しく礼を述べた。
「それじゃ行こうか」
「はい。お願いします」
食堂へ向かおうと一歩踏み込んだが、司の足がそこで止まった。
「……………えっと」
司が後ろを振り向く。するとそこには女の子の背中が見えた。
つまり最初の一歩で逆方向を歩いていたのだ。
多分からかっているわけじゃないだろうとは、なんとなく分かる。
となればこれが地なのだろうが、ここまでくるともう一種の才能と言ってもいいだろう。
「…食堂はこっち、だけど?」
躊躇しながら女の子に尋ねると、女の子は回れ右をして司の横に立つ。
よほど恥ずかしかったのか顔を紅くさせ、俯いていた。