お嬢様重奏曲!
「司の独り占めは許さへんで。司は今はみんなのもんや。そうやろ?」
 美琴の質問に薫は答えない。それを肯定と取った美琴は、司の腕を取り強引に引っ張り出した。
「ほな、薫の許可ももろた事やし。司、行くで」
「お、おい! 美琴! 強引過ぎだって」
「ええやんか。薫とは後でラブってればええやんから」
 なぜか分からないが、妙に美琴が自分の腕を体に引き寄せている。
「ってか美琴! おまっ、当たってるって胸が」
 そう先程から惜し気もなく美琴の胸が自分の腕に、押し当てられているのだ。
「アホやな、自分。当ててるに決まってるやんか。お約束ってやつや」
「お約束っておい! 離せ!」
「嫌よ嫌よも好きのうちってな。ほんまは嬉しいくせに。照れんな」
「ふざけんな! なんでお前なんかと」
「カッチーン! 薫、司を借りるで」
「え? 美琴、その…あぅ」
 先程よりも増した密着度に薫はただただ、狼狽しているだけだった。
「今日こそウチらが可憐で清楚な淑女やっちゅーのを、教えたるわ」
「はぁ? ふざけんな。お前以外は、みんな淑女だっつーの!」
「ウチにケンカ売っとるんやな? 上等やないない! きっちりかっちり釣銭無しに買うたるわ」
 美琴は力任せに司をプールに投げ込み、怒鳴り散らした。
「何しやがる! 誰にケンカ売ったか教えてやんよ!」
 司の意思によってプールの水かさが減り、その真上に大きな水の塊が浮かび上がっていた。そしてその水の塊はやがて人の形へとグニャリと、変化した。
「フハハハ! 滅びるが良いわ!」
「く、黒い。今、司が黒いで! あんたはあれか? セイ〇ー〇ルタか」
 ダーク化した司に、美琴はおろかクラスメート全員が恐怖した。
 司は水の人形の、頭上まで浮かび上がり悪い表情を見せた。
「この英雄王に逆らった罰を受けるが良い!」
 司が右腕を振り上げると、水の人形も同じ動きを見せた。
「違うた! ギル〇メッシュの方やった」
 この後、美琴は司に叩きのめされたが、司は木の葉と美凪に叩きのめされたのであった。
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