お嬢様重奏曲!
「ここが食堂だよ」
「はい。ありがとうございます」
どうにかこうにか食堂に到着したが、その間何度はぐれそうになったか分からない。
一度本気ではぐれてしまい魔法で探したところ、なぜか寮の玄関前まで戻っていたのだ。
まさに恐るべき方向音痴である。
「まっここまで来ればさすがに大丈夫だろ」
「はい。度々ご迷惑をかくてしまい、申し訳ありませんでした」
「俺もどうせ近くに用事があったからついでだ。気にする事ないさ」
「そうですか」
司の今度を聞いて安心したのか、胸を撫で下ろしていた。
「んじゃ俺はこれで」
「あ、あの」
立ち去ろうとした司を女の子が呼び止めた。
「ん?」
「あのあなたのお名前を聞かせていただいてよろしいですか?」
「俺の? 俺は司、御影司」
「私は来栖咲枝と申します。司様。この度は本当にありがとうございました」
咲枝は深々と頭を下げた。
「い、いや。いいって。当たり前の事をしただけたから。そんじゃな」
「はい、司様。ご機嫌よう」
司は少し小走り気味で咲枝と別れた。
「いや〜しかし一口でお嬢様って言っても色々いるもんだな」
寮の前まで来たところで歩調を緩める。
「司さーん」
玄関の方から声が聞こえ振り返ってみると、薫が手を振っていた。
「薫さん? こんな時間にどうかした?」
「いえ。ただ司さんの部屋に行ったら、司さんがいなくて」
どうやら自分を探していたらしい。なんとなく良心が痛む。
「どちらに行ってたんですか?」
ここは罪滅ぼしも兼ねて正直に言うべきだろう。
「ん。来栖咲枝さんって知ってるかな? 彼女が道に迷ってたみたいでね? 案内してたんだ」
「あ〜咲枝さんですか。だったら仕方ないですね。本当はこんな事言うの失礼なんでしょうけど、方向音痴らしいですから」
薫が苦笑気味に言う。
どうやら咲枝の方向音痴はみんなの共通認識らしい。
「それはそうと、俺を捜してたって事はなんか俺に用でもあった?」
「え? その、えっと……それでしたら、もう大丈夫です。はい」
なにやら分からないが薫は頬を紅くさせ視線を外した。
これ以上は詮索しない方がいいだろうと判断した司は即座に退散する事にした。
「はい。ありがとうございます」
どうにかこうにか食堂に到着したが、その間何度はぐれそうになったか分からない。
一度本気ではぐれてしまい魔法で探したところ、なぜか寮の玄関前まで戻っていたのだ。
まさに恐るべき方向音痴である。
「まっここまで来ればさすがに大丈夫だろ」
「はい。度々ご迷惑をかくてしまい、申し訳ありませんでした」
「俺もどうせ近くに用事があったからついでだ。気にする事ないさ」
「そうですか」
司の今度を聞いて安心したのか、胸を撫で下ろしていた。
「んじゃ俺はこれで」
「あ、あの」
立ち去ろうとした司を女の子が呼び止めた。
「ん?」
「あのあなたのお名前を聞かせていただいてよろしいですか?」
「俺の? 俺は司、御影司」
「私は来栖咲枝と申します。司様。この度は本当にありがとうございました」
咲枝は深々と頭を下げた。
「い、いや。いいって。当たり前の事をしただけたから。そんじゃな」
「はい、司様。ご機嫌よう」
司は少し小走り気味で咲枝と別れた。
「いや〜しかし一口でお嬢様って言っても色々いるもんだな」
寮の前まで来たところで歩調を緩める。
「司さーん」
玄関の方から声が聞こえ振り返ってみると、薫が手を振っていた。
「薫さん? こんな時間にどうかした?」
「いえ。ただ司さんの部屋に行ったら、司さんがいなくて」
どうやら自分を探していたらしい。なんとなく良心が痛む。
「どちらに行ってたんですか?」
ここは罪滅ぼしも兼ねて正直に言うべきだろう。
「ん。来栖咲枝さんって知ってるかな? 彼女が道に迷ってたみたいでね? 案内してたんだ」
「あ〜咲枝さんですか。だったら仕方ないですね。本当はこんな事言うの失礼なんでしょうけど、方向音痴らしいですから」
薫が苦笑気味に言う。
どうやら咲枝の方向音痴はみんなの共通認識らしい。
「それはそうと、俺を捜してたって事はなんか俺に用でもあった?」
「え? その、えっと……それでしたら、もう大丈夫です。はい」
なにやら分からないが薫は頬を紅くさせ視線を外した。
これ以上は詮索しない方がいいだろうと判断した司は即座に退散する事にした。