お嬢様重奏曲！

　自分の席に戻った司は薫たちに褒めた倒された。
「司さん、凄いんですね」
「なかなかやるやんか？　ウチの目に狂いはなかったわ」
「さすがは司様ですね」
「ん〜。まあね」
　司は決して自分に驕らない。
　この程度、魔法使いなら当然だからである。
「ですけど次からは居眠りなんて駄目ですよ？」
「分かってるよ。次からはばれないようにするから」
「ほんま懲りんやっちゃな」
「ん。ありがとさん」
「褒めてへん褒めてへん」
　それからと言うもの、どうにも教師の中で司はズル賢いと噂が広まっているらしく、難しい問題の度に司が指名されそして司は次々と解答させていった。
　昼休み、とうとう司は疲労から机に突っ伏してしまった。
　決して楽勝ではなく、教えてもらった事を応用して答えているだけなのだ。
「ふふっ。お疲れ様です。司さん」
「司もアホやなぁ。あんなん適当に手を抜いたったらええやんか」
「…うるさいなぁ。俺だってまさかこうも正解するとは思ってなかったんだよ」
「と、とにかく。司さん、美琴。お昼にしましょう？」
　薫は強引に話を切り替えようと、無理に笑って見せる。
「せやな？　ほらっ司。いつまでそうしてんねん。はよ食堂に行くで」
「へいへい」
　二人に誘われ司はようやく重い腰を上げた。
「せっかくの両手に花なんやから、もうちょっとしゃきっとせえや。こんな美女二人に失礼と思わへんのか？」
「……………………さ〜て、薫さん昼は何を食べようか？」
「え？　えっと」
　薫は困った表情を見せ美琴を横目で盗み見る。
「ってなんやねん！　その間は！　薫もなんでフォローしてくれへんねん」
「えっと、その……ははは」
　笑ってごまかす薫を見て司は溜め息を、美琴は嘘泣きをしたのだった。
「それよかしゃきっと、行くんだろ？　早くしないと飯食べる時間なくなるぜ？」
「それもそやな？　ほな行こうか？　薫」
「うん」
　美琴はそれほど気にする素振りを見せず、一瞬で態度が変わった。
　食堂に着くと、司は薫や美琴よりもかなり多く注文し、午後のために体力を蓄えたのだった。
　ちなみに午後の授業も集中砲火を受けたのは余談である。