お嬢様重奏曲!
 そしてとうとう社交界当日がやってきた。
 司は警備の打ち合わせがあるため先に会場へとやってきていた。
 司一人で警備をするわけではない。
 この会場にやってくるその全ての生徒が大富豪や資産家や政治家などの子息や令嬢ばかりなのだ。万が一の事があってはいけないのだ。
 そのため警備は中と外を含め百人以上が集まっている。
「……と言う事を常に意識して警備してもらいたい。警備の配置は…」
 その百人以上の警備員を指揮しているのは、当然司である。
 御影の名は表にはあまり出ないが、その存在はかなり大きい。そしてその御影を受け継ぐ司に不平や不満を言う者はいない。
「…と言う感じで頼みます。俺は一応中で待機しますが、外の様子も確認しているので、何かあればマイクで俺に連絡してください。後、定時連絡も忘れずに。では何か質問は?」
 周囲を見回すが沈黙が続く。
「ではもうすぐ生徒が来場する時間です。各自配置に付いてください。解散!」
 司の号令で警備員たちが自分の持ち場へと移動を開始していく。
「さて。俺も持ち場に付くか」
 全員が移動したのを確認してから司も移動を開始した。
 しばらくすると、ぞろぞろと生徒たちが会場へやってきた。
 その中には当然セレスティア学園の生徒もいる。
 司はクラスメートに見つからないようにと、願いながら会場を見回る。
「司さーん」
 どこからか聞き覚えのある声で自分を呼んでいる。
 振り返るとそこには嬉しそうに手を振っている薫と、何やら含み笑いを浮かべている美琴が歩み寄ってきていた。
 二人ともとてもきれいなドレスを身に纏っているため、いつもより三倍は可愛い。
 薫は白を基調としたおしとやかな感じで、美琴は黒を基調とした活発的な感じであった。
 対する司は赤と黒を基調としたロングコート、耐刃繊維が折り込まれたアンダーに革のパンツ。
 右腕にはダーツ。左腕には綱糸が隠され、腰に付けられた剣帯にはダガーが吊されていた。
「なんて言うか斬新やなぁ。司の服は」
「そう? 私は素敵だと思うけど」
 それぞれ反対の意見を述べた。
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