お嬢様重奏曲!
まるで壊れたオモチャのようにカクカクと首を後ろに向ける。
するとそこには頬を引き攣らせ、仁王立ちしている茜の姿があった。
「ご機嫌よう? 御影」
「ご、ご機嫌よう。琴崎先輩」
司の頬には冷や汗が流れる。
「ようやく見つけたぞ。これまで上手く隠れていたようだが、ここまでだな」
「…………えっと。俺にはなんの事やらさっぱりですが」
「ほほう? まだ白を切り通すつもりか。ならばもう一度言おう。私と勝負しろ」
「嫌です」
茜の誘いをきっぱりと断る。
すると周りの生徒たちがざわめき始めた。
「理由を聞かせてもらおうか」
「剣道部の試合が近いんでしょ? もし怪我でもさせたら大変だし。第一俺は勝てない勝負はしない」
端から見ればなんとも卑怯で負け犬的セリフではあるが、茜はそう捉えてはいなかった。
「なるほど。つまり自分の実力を心得ている、と言う事か。ますますお前と手合わせしてみたくなったぞ」
茜はまさに首を縦に振るまでは動かない姿勢を見せていた。
食堂に沈黙が支配してから数分。
先に折れたのは司だった。
「…………はぁ。分かりました。すればいいんでしょ? 勝負」
「そうか。引き受けてくれるか」
「日にちは明日の放課後、場所は剣道部の道場。そして琴崎先輩は剣道、俺は剣術で勝負は先に一本を取った方が勝ち。この条件を飲めないなら、この話はなかった事にしてもらいます」
「構わないさ。持ち掛けたのは私だ。それくらいの条件くらい聞き入れよう」
茜はよほど嬉しかったのか満足げに頷いて見せた。
「先に言っておくけど、俺と勝負してがっかりしても知りませんよ?」
「落胆するつもりは毛頭ない。では明日、道場で待っているぞ」
茜が去っていくその後ろ姿はまさに侍そのものに見えた。
「……だはぁ〜。なんでこんな目に」
茜がいなくなったのを確認して、テーブルに倒れ込んだ。
「頑張ってください。司さん! 私応援します」
「司様。頑張ってください」
「まぁほどほどに頑張りや。せやけどウチは琴崎先輩を応援するけどな」
各々がそれぞれの気持ちで司に声援を送ったのだった。
するとそこには頬を引き攣らせ、仁王立ちしている茜の姿があった。
「ご機嫌よう? 御影」
「ご、ご機嫌よう。琴崎先輩」
司の頬には冷や汗が流れる。
「ようやく見つけたぞ。これまで上手く隠れていたようだが、ここまでだな」
「…………えっと。俺にはなんの事やらさっぱりですが」
「ほほう? まだ白を切り通すつもりか。ならばもう一度言おう。私と勝負しろ」
「嫌です」
茜の誘いをきっぱりと断る。
すると周りの生徒たちがざわめき始めた。
「理由を聞かせてもらおうか」
「剣道部の試合が近いんでしょ? もし怪我でもさせたら大変だし。第一俺は勝てない勝負はしない」
端から見ればなんとも卑怯で負け犬的セリフではあるが、茜はそう捉えてはいなかった。
「なるほど。つまり自分の実力を心得ている、と言う事か。ますますお前と手合わせしてみたくなったぞ」
茜はまさに首を縦に振るまでは動かない姿勢を見せていた。
食堂に沈黙が支配してから数分。
先に折れたのは司だった。
「…………はぁ。分かりました。すればいいんでしょ? 勝負」
「そうか。引き受けてくれるか」
「日にちは明日の放課後、場所は剣道部の道場。そして琴崎先輩は剣道、俺は剣術で勝負は先に一本を取った方が勝ち。この条件を飲めないなら、この話はなかった事にしてもらいます」
「構わないさ。持ち掛けたのは私だ。それくらいの条件くらい聞き入れよう」
茜はよほど嬉しかったのか満足げに頷いて見せた。
「先に言っておくけど、俺と勝負してがっかりしても知りませんよ?」
「落胆するつもりは毛頭ない。では明日、道場で待っているぞ」
茜が去っていくその後ろ姿はまさに侍そのものに見えた。
「……だはぁ〜。なんでこんな目に」
茜がいなくなったのを確認して、テーブルに倒れ込んだ。
「頑張ってください。司さん! 私応援します」
「司様。頑張ってください」
「まぁほどほどに頑張りや。せやけどウチは琴崎先輩を応援するけどな」
各々がそれぞれの気持ちで司に声援を送ったのだった。