お嬢様重奏曲!
茜との勝負が終わってからと言うもの、確かに嫌がらせの類は一切なかった。
悪役としてこれから嫌われるのを覚悟していた分少しだけホッとする。
そして剣道部の試合まで後一ヶ月のところで事件は起きた。
放課後、司は寮へと帰ろうと席を立ち上がった時である。
「大変やで! 司」
血相を変えて美琴が司のところにやってきた。
「何があったんだ?」
「とにかく剣道部の道場に急いで欲しいんや」
「ん。分かった。急ごう」
美琴の言葉を疑う事なく、司は道場へと向かう。
道場に着くとすでにそこは人だかりとなっていた。
「スマン! 道を空けてくれ!」
司が叫ぶと生徒たちは素直に道を空ける。
道場の中に入ると、茜と琉菜の姿が見えた。そしてその側には腕を痛々しく押さえている生徒がいる。
「何かあったんですか?」
「司君?」
「御影か。君には関係ない事だ」
「んなのんきな事言ってる場合じゃないでしょうに」
「……………」
「この生徒が練習中に怪我をしてしまったのよ」
黙り込む茜に代わり琉菜が答える。
「怪我、ですか?」
司はその場に膝を付き腕を押さえている生徒を見る。
「ちょっと見せてもらっていいかな?」
生徒は無言で頷く。
了承を得たところで静かに痛めた腕に触る。
「……骨折はしてないみたい。でも腱が結構痛めてるな。一ヶ月後の試合は無理かも。安静にしてないと、今後に響く」
「何をでたらめな事を」
「司君。それは本当?」
茜を制し琉菜が真面目な表情をする。
「絶対とは言えないけど、腱を痛めてるのは確かです」
「御影の言葉を鵜呑みにする気か? 第一彼女は団体戦のメンバーなのだぞ?」
「それについては心配ないわ。私に考えがあるから。それよりも彼女を早く医務室へ」
「…………分かった」
怪我をした生徒を医務室へ連れていき、先生に診てもらったところ司の言った事と、同じ事を先生が告げた事に茜は驚き琉菜と司を見つめたのだった。
そしてその後、司と琉菜そして茜の三人は理事長室へと向かい、今後の事を木の葉に相談した。
悪役としてこれから嫌われるのを覚悟していた分少しだけホッとする。
そして剣道部の試合まで後一ヶ月のところで事件は起きた。
放課後、司は寮へと帰ろうと席を立ち上がった時である。
「大変やで! 司」
血相を変えて美琴が司のところにやってきた。
「何があったんだ?」
「とにかく剣道部の道場に急いで欲しいんや」
「ん。分かった。急ごう」
美琴の言葉を疑う事なく、司は道場へと向かう。
道場に着くとすでにそこは人だかりとなっていた。
「スマン! 道を空けてくれ!」
司が叫ぶと生徒たちは素直に道を空ける。
道場の中に入ると、茜と琉菜の姿が見えた。そしてその側には腕を痛々しく押さえている生徒がいる。
「何かあったんですか?」
「司君?」
「御影か。君には関係ない事だ」
「んなのんきな事言ってる場合じゃないでしょうに」
「……………」
「この生徒が練習中に怪我をしてしまったのよ」
黙り込む茜に代わり琉菜が答える。
「怪我、ですか?」
司はその場に膝を付き腕を押さえている生徒を見る。
「ちょっと見せてもらっていいかな?」
生徒は無言で頷く。
了承を得たところで静かに痛めた腕に触る。
「……骨折はしてないみたい。でも腱が結構痛めてるな。一ヶ月後の試合は無理かも。安静にしてないと、今後に響く」
「何をでたらめな事を」
「司君。それは本当?」
茜を制し琉菜が真面目な表情をする。
「絶対とは言えないけど、腱を痛めてるのは確かです」
「御影の言葉を鵜呑みにする気か? 第一彼女は団体戦のメンバーなのだぞ?」
「それについては心配ないわ。私に考えがあるから。それよりも彼女を早く医務室へ」
「…………分かった」
怪我をした生徒を医務室へ連れていき、先生に診てもらったところ司の言った事と、同じ事を先生が告げた事に茜は驚き琉菜と司を見つめたのだった。
そしてその後、司と琉菜そして茜の三人は理事長室へと向かい、今後の事を木の葉に相談した。