お嬢様重奏曲!
 かくしてお嬢様学校であるセレスティア学園の入学式が華々しく執り行われた。
 さすがはセレブのお嬢様たちが通う学校である。体育館はバスケがオールコート二つ分あり、ところどころに高そうな調度品が惜し気もなく飾られていた。
 司は万が一の事も考えられるため体育館の済みの方で待機する事となった。
 最初は体育館がざわめき痛いほど視線が突き刺さってきたが、そこはさすがお嬢様と言うべきか入学式が始まった途端静かになったのだ。
 もう一つ司が驚いたのは教員の構成である。
 さすがは木の葉。まさか教員まで全員が女性とは徹底している。
「そう言えばあの子、神楽薫だっけか。無事に辿り着けたかな?」
 司は静かに目を閉じ魔力によるソナーを飛ばす。
 ソナーはやがて体育館全てを包み込んだ。
 これに気付いたのはやはり木の葉だけで、一瞬怪訝な表情を見せるが、何やらニヤリと微笑み何事もなかったように、入学式に意識を戻していた。
 司もとりあえず木の葉を無視し薫を捜す。
「おっ! ちゃんと来てた」
 少し端の方で友達であろう生徒と楽しそうにしていた。
「あの様子なら足の方は問題無さそうだな」
 ついでに体育館全体の様子を探る。
 特に問題がないようなので範囲を学園の敷地全体へと広げていく。
「くそっ。無駄に広く作りやがって」
 広大なセレスティア学園の敷地をそれでも全域カバーする事に成功。
 侵入者のチェックと偶発的なトラブルのチェックを同時に行っていく。もちろん体育館の中も忘れない。
 閉じていた目を開き体育館を見ると、気が付けば入学式も終盤を迎えようとしていた。
 今は生徒会長の祝辞が行われている。
「…………と言うわけで勉強や部活、果ては恋愛なんかで有意義に過ごしてちょうだい。以上!」
 なんて言うか随分オープンな生徒会長である。
「まぁ理事長が理事長だしな」
妙に納得出来たところで今度は新入生の名前が呼ばれていく。
 これで無事に入学式も終わる。そう思っていたその時だった。
「御影司さん」
 そこでなぜか自分の名前が呼ばれたのだ。
「返事をしてください。御影司さん」
 見るとニヤリと笑う木の葉がいた。
「………………はい」
 こうして木の葉さんの策略により俺のお嬢様学校での学生生活が始まった。
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