お嬢様重奏曲！

　昼は料理が得意な薫が作る事となった。
　もちろん司も手伝ったが、ほとんど薫で作ったようなものだった。
「薫さんの手料理かぁ」
　テーブルの上に置かれた料理の数々を見て、司は感動していた。
「せやろ？　ウチが男やったら、嫁にもらいたいくらいや」
「うわ〜。その気持ち分かる」
「ちょっ！　美琴。変な事言わないでよ。つ、司さんも！」
　薫は顔を真っ赤にさせ怒鳴った。
「私も料理はしますが、薫さんほど上手く作れません」
「咲枝さんも加わらなくていいです」
　目にうっすらと涙を浮かべていたのを見て、司たちはからかうのを止める。
「ゴメンゴメン。度が過ぎたよ。さ、さぁ冷めないうちに薫の手料理食べようぜ」
　司がまず一口。
「う……………美味い！　マジで美味いよ」
「本当ですか？　良かった。お口に合わなかったらどうしようって、思ってました」
「ここでマズイなんて抜かしたら、ウチが叩きのめすけどな？」
　美琴はともかく薫は料理が上手いと聞いていたが、その腕前は司の予想以上だった。
　その後も薫の手料理に舌鼓を打ちながら、楽しい昼食となった。
　そして午後。近くにある湖畔で涼む事になった。
「初日で全開に遊んで後半バテてなんも出来ないんは、ただのアホや」
　とこれが美琴の言い分だった。
　女の子三人は水辺で楽しげに戯れ、司はその側の木陰で涼んでいた。
「しっかし元気だな？　あいつらって」
　いつしか戯れはエスカレートしていき、美琴がスカートを巻くし上げ、水の中に入り二人に水をかけている。
「なんつーかやんちゃって言うかお転婆って言うか。それよか着替えあるのか？」
　見ていくうちに薫まで水の中に足をいれ、なんと咲枝までもが一緒になって入っていたのだ。
「おいおい。大丈夫だろうな？　転んでずぶ濡れになっても知らないぞ」
　司の不安など余所に三人はとても楽しそうだった。
　知らず知らずのうちに司までもが笑顔になっていた。
　しかしそこで予想通りとうとう薫がしでかしてしまったのだ。