お嬢様重奏曲!
「ったく。前半は飛ばさないってのはどうしたんだよ?」
「なんや、その場のノリってやつやんか。休みは全力で満喫するんが常識やろ?」
「そりゃ分からんでもないけど」
 薫が風呂に入っている間に美琴と咲枝を加え、いきなり反省会を開いていた。
「それにまさか咲枝さんまで参加するとは思ってもみなかったよ」
「申し訳ありません。気持ち良さそうでしたのでつい」
「それも分かりますが」
「まあまあ。ええやんか。司かてええもん見れてラッキーやったやんか。薫て意外とスタイルえかったやろ? 薫は着痩せするタイプなんや」
「そういう問題じゃないだろ。まぁ悪い気分じゃないけど」
 司の脳内であの時の薫の姿がリフレインされる。
「まっ司も男やって事やな」
「やはり司様も異性の体に興味がおありなんですか?」
「いや。まぁそりゃ多少は。美琴の言い方は置いといて、俺も男ですから」
「何のお話をしてるんですか?」
 そこでタイミングよく風呂上がりの薫がやってくる。
「今か? 司のスケベ心と薫のいやらしい女体について、ちょっと」
「え? そうなんですか?」
 薫は美琴ではなく、司に尋ねる。
「いやいや。そんなわけないじゃないですか。そんな真剣に聞かないでください」
「そ、そうですよね? 司さんがそんな事するはずないですよね」
 薫は安心したのかホッと胸を撫で下ろしていた。
「ほっほう? 随分と司の事信頼してるんやな」
「そ、そんな事ないよ。それに司さんはお友達ですし」
「美琴さん。さすがに悪ふざけが過ぎますよ?」
 ここで咲枝からの加勢により、美琴が押される。
「なんや咲枝まで司の味方なんか。これならウチだけ悪者になるんは、損なだけやんか」
 結局は美琴も司の事は嫌いではないのだ。
「………はぁ。まあ俺の事はいいさ。美琴と咲枝さんも先に風呂入ってなよ。その隙に俺が晩飯の支度しておくからよ」
「ほほう? 司料理出来るんやな」
「俺はずっと一人暮らしだから、料理くらい出来るさ」
「はたしてウチらの舌を満足させる事が出来るか楽しみやな。ほな、咲枝一緒に入ろ」
「え? 私は後でも」
 咲枝が言葉を言い切る前に、美琴は風呂場へと引きずり込んでいった。
< 71 / 200 >

この作品をシェア

pagetop