お嬢様重奏曲!
「今度は火力で攻めてきたか」
 司は肩を落としため息を吐く。
「撃て!」
 そんな司を余所にSPたちは銃を一斉に撃ってきた。
「どうして無駄だって分からんもんかな?」
 全ての銃弾は司が展開させた障壁によって弾かれていく。
「さて。さっきも言ったがこんなとこで時間をかけてらんないんだ。って事でザコはザコらしくやられてろ」
 司は何事もないように銃弾の雨の中を歩いていく。
 そして集団の後ろまで歩ききったところで、SPたちは全員同時に床に倒れ込み気を失っていった。
「やれやれ。どうやら俺はよっぽどじいさんに嫌われてるようだ」
 司は振り返る事なく屋敷の奥へと向かって行った。
「やれやれ。この分ではここへ来るのも時間の問題じゃな。仕方がない。用心棒たちをここへ集めろ。やつらも暇で仕方がなかろう」
 祖父は苛立たしく指示を出し、パイプに火を点ける。
「…………司さん」
 薫は祈る事しか出来ない自分が悔しくて仕方がなかった。
 それからしばらくして司は薫がいるリビングへとたどり着いていた。
「さて。鬼が出るか蛇が出るか」
 リビングのドアを開ける。
「司さん!」
 部屋の奥に薫と老人がソファーに座っていた。
「あんたが神楽財閥の総帥さんか」
「そうじゃ。守護者よ」
「やっぱり知ってたか」
「ふん。御影の名を知らぬ者などおらんわ」
「んじゃ早速だけど彼女を引き渡してもらおう」
 司がリビングに踏み込んだその時だった。部屋中から殺気が司に向け放たれていた。
 それも人間を何人も手に掛けている連中だけが放つ、まがまがしいものである。
「邪魔すんな」
 司は部屋を一瞥する。
 すると司の殺気と気迫に当てられ、用心棒全員が動けなくなっていた。
「なるほど。つまりお前はこいつらよりも遥かに強い、と言うわけか」
 少しだけ落胆したがそれも一瞬だった。
「使えんやつらだ。まぁよい」
 それでもまだ余裕があるのかパイプを加え、口からゆっくりと煙を吐き出していた。
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