十二の暦の物語【短編集】
『はい…』
助手席の背もたれに片腕を押し当てて私と顔の距離を縮められた
『はっ…隼人…っ、先輩…?』
「…【先輩】付けんなつったろ…?」
焦って、焦って、つい昔の呼び名で呼んでしまって注意された
その声が耳元で囁かれる低音の大人な声だったから…私の体温は急激に上昇した
『…っ』
「…何だよ。緊張してんのか…?」
『い…っ…いえ…』
私がそう答えると、静かに覆いかぶさってキスをされた
優しくて、熱くて、丁寧で、長くて、何度しても私の体温を上昇させるキス
「――…」
唇が離れた
目を開けると、私の視界から遠ざかる顔は少し名残惜しそうで、寂しそうだった
その顔もまた私をドキドキさせて…
私、恋愛経験に乏しいのに…
長い沈黙
暗い車の中には、静かな雨音しか響かなかった
助手席の背もたれに片腕を押し当てて私と顔の距離を縮められた
『はっ…隼人…っ、先輩…?』
「…【先輩】付けんなつったろ…?」
焦って、焦って、つい昔の呼び名で呼んでしまって注意された
その声が耳元で囁かれる低音の大人な声だったから…私の体温は急激に上昇した
『…っ』
「…何だよ。緊張してんのか…?」
『い…っ…いえ…』
私がそう答えると、静かに覆いかぶさってキスをされた
優しくて、熱くて、丁寧で、長くて、何度しても私の体温を上昇させるキス
「――…」
唇が離れた
目を開けると、私の視界から遠ざかる顔は少し名残惜しそうで、寂しそうだった
その顔もまた私をドキドキさせて…
私、恋愛経験に乏しいのに…
長い沈黙
暗い車の中には、静かな雨音しか響かなかった