十二の暦の物語【短編集】

『…ぇ…』

真っ赤な、鋭い目つきの目からは涙が零れそうな顔で伝えられた言葉に、耳を疑った

『私が…?』
「駄目…か…?」
『いえ…っ…その…私で…良いんですか?…本当に?』


自分で隼人先輩のお嫁さんになる事を望んだのに、口が勝手に動く

『私よりも経済力があって…綺麗で…女らしくて…そんな人じゃなくて…良いんですか…?私なんかで…ッ』
「…アホ…っ」


思い切り抱き寄せられて言葉を遮られた
先輩は泣きそうな震える声で語り始める

「俺は…っ…中学の時…水月が言ってた…ジューンブライドになりたいって話聞いて…水月が入社してきて…一昨年から俺は…オマエをジューンブライドにしてやろう。って思って…きたんだからな…っ」
『…ぇ…?』


遠い昔――中学時代の記憶がよみがえる