十二の暦の物語【短編集】

片手にカキ氷、片手に――

「ふーぅーっ」
『へ?』

お昼中、いきなり友達の彩音(アヤネ)に声をかけられてお箸をくわえたまま振り返る

「…もーっ。文月(フヅキ)反応薄いーっ」
『ご、ごめん』

頬を膨らまされて、一応謝る。てか、食べてる最中にいきなり声かけられても反応できないでしょ!!

『で、何?』
「あ、そうだった。つか、文月もう浴衣買った?」
『は?浴衣?買ってないけど?てか着たのって小6で最後なんだけど』
「はぁ!?じゃあ、今年は買わなくてイイの?」
『へ?何で?』
「…アホかあんたーっ!!」
『いたっ』

叫びながら思いっきり頭を引っ叩かれた
え?あたし彩音に何かしたっ?

「何の為の夏だ!!何の為の祭りだ!!何の為の花火だーーーっ!!!!!」

拳を震わせて叫ぶ彩音
え、何?何でそんなにヒートアップしてんの??

「ハイそこで箸加えてる文月さん!!お答えをどうぞ!!」
『え?えと…面白いから…?』
「はっずれー!!つか、何その答え。答えになってなくね!?」

そこで言葉を切ってばん!!と机を叩いた

「初キスの為に決まってんだろーがーっ!!!!」
『…はぁ…』





『はぁ!?』
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