十二の暦の物語【短編集】
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「あ、文月おっそーいー!!!!」
『ゴメンゴメンゴメンー;』

その週の土曜日、彩音と浴衣を買いに!!
お母さんにお金貰おうとたら、以外とすんなりオッケーしてもらえた
「やっと浴衣着るのねー」って。娘が浴衣着るのがそんなに嬉しい?

「じゃ、行きますか!!」

目の前のビルに入ると、ガンガンにクーラーのかかった店内で水着やら浴衣やらが沢山売っていた
…こんなあったら何買えばいいのか分かんない…

『彩音ー…何買おうー?…』
「あ、ウチもう欲しいの決まってんだよね!!」

そう言って薄い黄色に淡い水玉柄の浴衣を手に取った
あ、彩音っぽい色。まぁ彩音って性格がアレなだけで何着ても似合うんだけど

『へー…可愛いじゃん』
「じゃ、早速買ってきますー♪で、文月は何にすんの?」
『あたし…こんなあると何か分かんなくなっちゃう…』
「白とか薄いピンクとか似合うんじゃん?」
『や、白はまだしもピンクなんて似合わないよっ!!』

彩音が手に取った薄ピンクに小さな花柄浴衣を元の場所に戻した

「あー…確かに。文月はピンクより青系ってカンジ?」

爽やかな水色の浴衣を手に取った
あ、確かに可愛いかも

でも―…

『これ…可愛いかも…』

一枚の浴衣が、目に留まった
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