十二の暦の物語【短編集】
**** **** **** ****
からん

からん

からん

『下駄歩きにくい…』
「ウチもちょっと大変かもー…」

花火大会当日、この前買った浴衣を着て、帯を締めて、髪もアップして、気合バッチリで出かけた
2人で久しぶりに履く下駄に悪戦苦闘していると、バッグの中のケータイが鳴った

『あ、孝司!!もしもーし』
《もしもし、文月?》
『うん!あ、今彩音と向かってます!!』
《そーか。遅いから心配してた》
『ゴメンー。急いで行くね!?』
《あんま急いでコケんなよ?》
『ありがとうー』

ぴ。
彩音を振り返って叫んだ

『彩音!急ごう!時間がホラ!!』

ケータイの時計を見せたら、彩音は焦り始めた

「ぇえっ!急がなきゃじゃん!!…ってか下駄走りにくっ!!」
『人多っ!!』
< 109 / 190 >

この作品をシェア

pagetop