十二の暦の物語【短編集】
隣の孝を見ると、その衝動で小さな火の塊が落ちた
孝は線香花火を見つめたまま、静かな声で喋り続けた
「俺、打つよ?準決も、決勝も」
『うん…』
「お前の為に、打つよ」
『え…っ』
「な…何だよ…」
暗くて分かりにくいけど、照れたような顔でバツが悪そうに次の線香花火に火を付ける
「…お前もやれよっ」
無理矢理1本押し付けられた
「俺の顔、今赤いから、見んな」
『うん…』
火を付けて、オレンジの火花を見つめたまま、孝の言葉を聞く
隣り合って屈んで、絶対に顔を上げないで花火だけを見つめる
「俺…ホームラン…打つ…そんで…優勝して…」
『じゃあさ…あたしも…走るよ』
「…おう」
『インハイとか…速い人ばっかりだけど…孝が甲子園狙うなら…あたしも100で優勝狙う』
「…頑張れよ。汗まみれの陸上部」
『そっちこそ…泥まみれの野球部』
孝は線香花火を見つめたまま、静かな声で喋り続けた
「俺、打つよ?準決も、決勝も」
『うん…』
「お前の為に、打つよ」
『え…っ』
「な…何だよ…」
暗くて分かりにくいけど、照れたような顔でバツが悪そうに次の線香花火に火を付ける
「…お前もやれよっ」
無理矢理1本押し付けられた
「俺の顔、今赤いから、見んな」
『うん…』
火を付けて、オレンジの火花を見つめたまま、孝の言葉を聞く
隣り合って屈んで、絶対に顔を上げないで花火だけを見つめる
「俺…ホームラン…打つ…そんで…優勝して…」
『じゃあさ…あたしも…走るよ』
「…おう」
『インハイとか…速い人ばっかりだけど…孝が甲子園狙うなら…あたしも100で優勝狙う』
「…頑張れよ。汗まみれの陸上部」
『そっちこそ…泥まみれの野球部』