十二の暦の物語【短編集】

ヒーローと、借り物

「えーとぉ、今年の体育祭の話なんだけどぉ」

担任の先生がえらくゆっくりした口調でチョークを手に取って
カリカリよれよれの字で黒板に書いた
【全員リレー
 選抜リレー
 徒競走
 借り物競争
 パンくい競争
 障がい物競走】

「ってか先生、【障害物競走】の【害】書けないの?(笑」
「…五月蝿い長門(ナガト)。お前廊下に立ってろぉ」
「はっ!?」

クラス中が大笑いする
長門 ハルカちゃん、明るくてクラスの中心で羨ましいな・・・

「えー。先ず全員リレーっ」
「あ、せんせーっ。そこらは俺等学級委員にお任せを!!」
「ホラホラ先生どいてどいてーっ」

多分クラス内で1番体育祭を心待ちにしていた陸上部エース組の学級委員が前に飛び出てきた

「さーさー皆!!俺と千明(チアキ)が仕切るからにはもー大丈夫だかんなっ!!」

信用があって陸上部の中でも特に速くてハイテンションの深智(ミサト)君の仕切りでクラスが盛り上がった

「うっわ。先生の字見にくっ;」

深智の後ろでは、もう1人のエース千明ちゃんが先生の字を消してカラフルな生徒会書記だとは思えないギャル字で可愛く【全員リレーの走順】と書いた

「えーとぉ、スタートはやっぱ陸部の俺等のどっちかでイイよな?」
「「「「はーい」」」」
「じゃ、千明やってー。お前こないだのインハイのリレーで1走やったろ」






「「「「えええええええええ!!!!!」」」」

そうなんだ・・・
私文化部だから何もそんな情報聞いてなかった・・・
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