十二の暦の物語【短編集】
振り返ると、深智君が立っていた

顔が赤くなるのが自分でも分かる・・・
私、深智君が好きなんです
でも、深智君は人気者で勉強も運動もできるから、競争率高いし
私みたいな地味な子には絶対振り向いてくれないから告白も何もできないんだけど・・・

『私・・・遅いよ・・・』
「何言ってんだよ!飯田、美術部のクセに千明の次に速ぇんだぞ?」
『・・・え?』
「あれ、こないだの体力テストの結果見なかったか?」

ポケットからクラス名簿を取り出して見せてくれた
名前の横に50mのタイムが書いてあって、女子は赤、男子は黒で順位が付けてあった

『ほ・・・本当だ・・・』

嘘じゃないの?
私が20人近く居る女子の上から2番目って・・・

「な。やってくれね?」
『・・・』

深智君に顔を近くして迫られて、慌てて顔を反らす
アンカーなんて恥ずかしいし責任重大だから嫌なんだけど・・・
深智君に言われたら・・・

『・・・うん・・・じゃあ・・・やります・・・』
「ホント!?ありがとー夜月ちゃん!!」
「じゃあ、今日の放課後早速全員練習な!!」
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