十二の暦の物語【短編集】
「アップ終わったんで早速合わせてみたいと思います!!」

1周グラウンドを走って準備体操した後、千明ちゃんが皆に叫んだ
4、5人のチームを走順に区切って練習を始めた

『あ・・・あの・・・私・・・迷惑かけちゃうかもしれないけど・・・頑張るね・・・』

最終チームの皆に自信なさそうに言ったら。皆は笑った

「前から思ってたけどさ」
『えっ・・・』

一瞬体がビクッと強張った
恐る恐る私にバトンを渡す光輝(コウキ)君を見上げた

「なーんでそんなビクビクすんの?俺等仲間じゃないの」
『光輝君・・・』
「そーだよ?夜月ちゃんだけ引っ込みすぎだよ!」
『ハルカちゃん・・・』

ハルカちゃんが優しく私の頭に手を乗せて言ってくれた
このクラス、何でこんなに良い人ばかりなんだろう・・・

『うん・・・有り難う・・・』

「え、何、夜月っち今泣きそうな雰囲気!?」

野球部エースの晃司(コウジ)君がうろたえ始めた

『え・・・全然泣きそうじゃないよっ』

嘘。
実は皆が優しすぎて嬉しくて、密かに泣きそうになったの

「あーっ!!晃司、飯田泣かしたー!!」

バトンパスを教えてくれる深智君が駆け寄って来た

「ばっ・・・泣いてねぇよ!!な!夜月っち!?」
『え、うん・・・泣いてな』
「晃司!夜月ちゃん泣かしたらウチが許さないから!!」
『・・・へ』

言葉を遮られたと思ったら、千明ちゃんが私の肩を自分に強引に引き寄せた


「な・・・何で俺こんなヨゴレ役なワケ!?」
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