十二の暦の物語【短編集】
「はいはい。じゃあバトンパスの練習すっか」
「ぅおい!!そこ!!無視すんな!!」
「じゃあウチと深智がお手本見せるから見ててね」
「あ、完璧シカトなのな」

千明ちゃんと深智君がトラックに入った
千明ちゃんがバトンを持って深智君に向かって走り出した
深智君がリードして、千明ちゃんが大きな声を出す

「はいッ!!」

ぱしっ
深智君が手を伸ばすのと殆ど同時に、手の中にバトンの納まる気持ち良い音が響いた

『凄い・・・』
「おお~」
「すっげぇ~っ」

皆でパチパチ拍手をした
徐々にスピードを落として深智君と千明ちゃんが戻ってきた

「皆、コレできるように頑張ろうね!!」
「「「「え、何、それ、やんの?」」」」
「え、俺等そのつもりだったんスけど・・・」
「「「「無理」」」」

私も・・・皆以上に無理かも・・・
あんな難易度高いの・・・絶対皆に迷惑かけちゃう・・・

「んじゃあ30分練習開始ーっ。何かあったら俺か千明か陸部のヤツに聞いてー」

皆グループに分かれて練習を始めた

『・・・どうしよう・・・』
「あれ、飯田エライ心配顔だな?」
『・・・深智君っ?・・・う、うん・・・やっぱり心配・・・』
「お前心配性だなぁ(笑)大丈夫だって!!飯田って自分が思ってる程運動神経悪いワケじゃないし!!」
『うん・・・』

「夜月ちゃーん!!練習しよーよ!!!!」
「夜月っち早くー!!」

『うんっ・・・』

「ホラ。じゃー頑張ってな!!」

『有り難う・・・』

未だ不安は消えないけど、深智君に応援してもらったんだから頑張るしか無いっ・・・
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