十二の暦の物語【短編集】
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『・・・えっ・・・ヒック・・・』
「な・・・泣かないで夜月ちゃん!!」
『・・・って・・・たし・・・折角皆が1位で・・・って来てくれた・・・にっ・・・』
「何でよ!?いーじゃん2位なんだから!!点数80点も稼げたんだぞ!?」
『だって・・・私・・・が・・・抜かされ・・・っ』

そう・・・
ラスト。バトンパスも上手く行った
光輝君まで、皆は予想以上に差をつけてバトンを繋いでくれた
でもアンカーで、後ろから2組に・・・

「あーあーあー!!泣くなよ飯田っ!!;」

人ごみを掻き分けて、深智君が私の頭にがしっと手を置いた

「飯田すっげ速かったし!!2組、アンカーを陸部の男子にしたんだからしょうがないっしょ!!」
「そーだよ夜月ちゃん?夜月ちゃんはオレンジのヒロインだよ!!」
「つーかヒーローだぜ!?」
「男かよ!!」
「うッ」

『皆・・・最後・・・っ・・・なのに・・・っ』

「最後だからこそ誰か泣いてちゃ駄目だろ!!」
「ホラ!もうイイよ夜月ちゃん!それよりも次、深智が借り物競争出るよ!!」

どうして・・・このクラスはこんなに良いメンバーなの・・・?

『う・・・ん・・・』

涙を拭きながら、ハルカちゃんの隣に座った

「あ!出てきた!!おーい深智ー!!!!」
「オレンジ負けんなー!!!!」
「深智オマエ1位以外だったらジュース奢らせるかんなー!!」

色んな声援に深智君は笑顔で手を振る

「・・・ホラ!夜月ちゃんも応援しなよ!!」
『え・・・ぇええ?』
「こーゆう時にアピールしとくモンだよ!!」
『え、何で・・・』
「・・・好きなんでしょ?」

『何で・・・知って・・・』

「・・・皆ぁ、夜月ちゃんの好きな人は?」

ハルカちゃんが振り向いて言うと、皆一斉に口を開いた

「え?深智じゃねぇの?」
「違ったっけ?」
「深智だよね?」
「飯田サンの好きな子・・・て、深智じゃん」

皆・・・知ってたんだ・・・


バアンッ

「「「「ぉわっ」」」」
『ひゃっ』

「いかん!始まった!!!!」
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